毎日の出来事をのんびり書いていきます
09/21
2011
今日で悠々人生も最終回。
ラストは晃司さんです。ビールの缶のつもりで描いたんですけど、なんで灰色で塗ってしまったのか、私!;
今日で私の夏休みも終わり。
まあ長かったですけど、毎週スカイプやってたので(強制的に)あまりゆっくり休めなかったような・・・。
これもしかして冬休みとか春休みにもやるのか?!;
やってもいいけどお盆とか祝日ぐらいお休みにしてほしいなあと思う私でした。
今回最終回ということで、登場人物紹介も付けてみました。
小説カテゴリの悠々人生1話の1コ前をご覧ください。
絵は使い回しだし、誕生日は考えてないし、紹介文も4コマ時代の半分梅堂さんに作られたものですが;
・・・また気が向いたら追加します。里穂さんとかはるかさんとか。
ほんとは「悠々人生」と「リトル・ベアー」カテゴリを作ろうかと思ってたんですが、そうなるとリトルベアーの登場人物紹介もしないといけないので、また今度・・・;
では学校始まるので、しばし更新止まります。金曜は多分英語オンリーなんだよなあ。嫌だなあ;
また一気に涼しくなって長袖着ていますが、ほんとにこのまま涼しくなるのかなあ・・・。
***************
悠々人生 第7話 『森下 晃司』
私の仕事は小説を書くこと。寝ても覚めても小説を書いている。昔は憧れだったのに、いざ職業にしてみると辛いことの方が多い。
「あなた、調子はどうですか」
カタカタ原稿を打っていると、妻の洋子が入ってきた。アイスコーヒーと甘いケーキの匂いがぷーんと漂ってきて鼻をくすぐる。
「一服して里穂さんが持ってきてくださったケーキでもどうですか」
「いらん。集中できない、持って行ってくれ」
「そんな、たった一人の妹さんじゃないの。あなたを気遣ってちょくちょく差し入れも持ってきてくれるし」
里穂は昼頃レアチーズケーキを持ってやってきた。どういう訳か週に3度ほど、様子を見がてら差し入れを持ってやってくる。その気遣いはありがたいが、集中したい時に甘いものを持ってこられると気が散る。「休め、一服しろ」とケーキに誘惑されている気分になるのだ。
「あとで食べるからコーヒーだけテーブルに置いといてくれ」
「はいはい分かりましたよ・・・・・・」
甘い匂いが遠ざかっていきドアが閉まる。さて考えなくては。あと1週間で仕上げなければならないのだ。手書きと違ってパソコンのいいところは前後の文が置き換えられたり、すぐ直しがきくところ。しかし急に動きが鈍くなったり、フリーズしたり、一瞬でデータが消えたり、恐ろしい部分もある。言ってる傍から文字入力ができなくなった。
「あーもう!!」
上書き保存はしてあったが、ただでさえ時間がないのに、と乱暴に頭を掻きむしる。遠くで洋子の声がしたがよく聞こえなかった。足音がこちらに近づいてきて、ガチャリとドアが開いた。
「おじさーん」
「あ、なんだりかか」
パソコンの前の回転椅子に座ったまま振り返ると、姪のりかがいた。今年で大学2回生になる。
「なんだ? 差し入れなら里穂が持ってきてくれたぞ」
「お母さん来たの? 今回は差し入れじゃなくてね。あ、入って高山くん」
お邪魔します、と言って入ってきたのは1人の青年。りかと同い年くらいだ。
「君は?」
「あ。僕、高山遼介といいます。りかさんと同じ大学の文芸部員です」
「ふーん、りかの彼氏?」
「えっ。違います違います!」
うろたえながら手と首を振り始める。見るからにおとなしくて真面目そうな男の子だ。こういうの最近では「草食系男子」っていうんだっけ。いやそんなことは置いといて、2人は何しにここに来たんだ?
「用がないなら帰ってくれ、私は忙しいんだ。あと1週間で仕上げないといけないんだから」
「せっかく来てくれたんだから、そんなこと言わないの」
さっき行ったはずの洋子が、再びケーキと飲み物を持って戻ってきた。
「あ、ケーキは今いいって言っただろ!」
「あなたのじゃありません、二人のです。ごめんなさいね、りか、高山くん。えーと、りかはコーヒーだめだから、アイスティーね。高山くんアイスコーヒーでいい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
2人はソファーに座ってケーキを食べ始めた。甘い匂いが部屋を満たし、思考を停止させる。
「僕、文芸部で小説を書いてるんです。でも最近ネタ詰まりで、一度有名作家さんの森下晃司さんにお会いしてみたかったんです」
高山くんがケーキをテーブルに置いて語った。なるほどそういう理由で来たのか。
「誘ったのは私。高山くん前から伯父さんに会いたいって言ってたから。でも見てのとおりお手本になること1つもないよ。すぐキレるし、パソコンは蹴飛ばすし」
「そうそう。年々子供っぽくなっていくのよねー。わざわざ来てもらったところ申し訳ないんだけど」
高山くんのフォローよりもりかと洋子の毒舌の方がはっきり聞こえ、反応のないパソコンも手伝って怒りが頂点に達した。
「うるさい、文句ばっかり言うなら出てけっ!!」
そう叫んでおもいっきりディスプレイを叩くと、画面が真っ暗になってしまった。慌ててマウスをカチカチするも反応なし。
「ど、どうしよう原稿が・・・・・・」
「あーあ、伯父さん乱暴にするから」
今はそんなことを言ってる場合じゃない。どうやら完全に壊れてしまったようである。うろたえていると、高山くんが画面を覗きこみ、「これデータUSBとかに残してますか?」と聞いた。
「ああ・・・・・・。あるにはあるけど半分くらいしか保存してない」
「残りはパソコンにある訳ですね」
「そうだけど?」
「なんとかデータだけ取り出せるかもしれません」
そう言って高山くんは目にも止まらぬ速さでキーボードを叩き始めた。機械オンチでさっぱり分からないが、さっきまでポンコツだったパソコンが生まれ変わっていく。意味も分からない英字が幾度も画面いっぱいに現れては消え現れては消えを繰り返し、「USBメモリください」と言う高山くんにそれを渡した。いつの間にか保存完了していた。りかも洋子も拍手を送っていた。
「高山くんすごーい。こんな特技があったなんて!」
「高山くんありがとう!! なんとお礼を言ったらいいか」
私は高山くんの手をガシッとつかみ、ほとんど泣きそうになっていた。「いやいや、お役にたてて何よりです」と彼は爽やかな笑顔で首を振った。お礼にごはんを食べていってくれ、と言ったがもう帰るらしい。残念。しかしいい小説のアイデアが思いついた。
「高山くん、たとえプロでもアマチュアでも煮詰まる時は煮詰まる。でも君のおかげでなんとか書けそうだ」
「ほんとですか」
「よかったわね。りかが高山くん連れてきてくれたおかげね」
「それじゃ伯父さん、早めに終わりそう?」
「うん多分な」
「それなら一緒に宵山行かない?」
えっ、伯父さんも一緒に行くの? と高山くんが驚きの声を上げた。宵山なんてずいぶん長い間行ってない。
だいたい私は人ごみが苦手だ。
「せっかくだけどいいよ。あんな人多いとこ疲れるだけだ」
とは言ったものの、2人が帰ったあと行きたいような気もした。
「行ってきたらいいじゃない。いい気分転換になるかもしれないわよ」
洋子にもそう言われ、夜に電車で四条烏丸まで行った。途中コンビニに寄ってビールを買い、夜店で香ばしい匂いを放つ焼き鳥を買った。人混みを避けてどこかで食べようとうろついていたら、新風館でりかを見つけた。どうも大学の友達と来たらしく、高山くんもいる。
「え、涼夏ちゃんも来たの?」
「そうなんです。よろしくお願いしまーす」
「お前、遠藤さんに迷惑かけるなよ」
「高山くん大丈夫だよ。あー嬉しいなあ。6時半に新風館集合って、ほんとにホルモーの世界だ」
「るかちゃんホルモーってなんなの?」
「あー腹減った。夜店でなんか買おう」
わいわいと喋りながら、恐れることなく人混みの中に自ら入っていく。青春だなあと思いながら、ビールをぐいっと飲んだ。
鉾のぼんやりした灯りが京都の夜を照らしていた。
●おわり●
*********************
●あとがき●
自己満足で始めた「悠々人生」の小説版、なんとか仕上げられてよかったですv
「悠々人生」は「Railwayぷらざ」というサイトで毎週連載していた4コマ漫画で、実際はもっと雑な絵で描いてました(毎週描かないといけないので;)。
3回生~4回生の12月まで連載していたのですが、小説の中にも4コマで出てきたネタがちらほら出てきます(笑)絵はなく文章だけですべてを表現するという違いはありましたが、これはこれで楽しかったです。
「宵山」というものに行く7人のそれぞれの視点から見た、それぞれの物語。
森見登美彦さんの「藪の中」(新釈走れメロス)を元に書きました。原作の「藪の中」は読んだことないんですが、いつも1人称で書いていて書ける心理描写とかも限界があるので、「これは新しい試みだ!」と思って挑戦。
まあ結果はそんなうまくいきませんでしたが;いいです。楽しかったから(おい)。
また「悠々人生」小説版が書ければいいなと思っています。
読んでくださってありがとうございました!
「あなた、調子はどうですか」
カタカタ原稿を打っていると、妻の洋子が入ってきた。アイスコーヒーと甘いケーキの匂いがぷーんと漂ってきて鼻をくすぐる。
「一服して里穂さんが持ってきてくださったケーキでもどうですか」
「いらん。集中できない、持って行ってくれ」
「そんな、たった一人の妹さんじゃないの。あなたを気遣ってちょくちょく差し入れも持ってきてくれるし」
里穂は昼頃レアチーズケーキを持ってやってきた。どういう訳か週に3度ほど、様子を見がてら差し入れを持ってやってくる。その気遣いはありがたいが、集中したい時に甘いものを持ってこられると気が散る。「休め、一服しろ」とケーキに誘惑されている気分になるのだ。
「あとで食べるからコーヒーだけテーブルに置いといてくれ」
「はいはい分かりましたよ・・・・・・」
甘い匂いが遠ざかっていきドアが閉まる。さて考えなくては。あと1週間で仕上げなければならないのだ。手書きと違ってパソコンのいいところは前後の文が置き換えられたり、すぐ直しがきくところ。しかし急に動きが鈍くなったり、フリーズしたり、一瞬でデータが消えたり、恐ろしい部分もある。言ってる傍から文字入力ができなくなった。
「あーもう!!」
上書き保存はしてあったが、ただでさえ時間がないのに、と乱暴に頭を掻きむしる。遠くで洋子の声がしたがよく聞こえなかった。足音がこちらに近づいてきて、ガチャリとドアが開いた。
「おじさーん」
「あ、なんだりかか」
パソコンの前の回転椅子に座ったまま振り返ると、姪のりかがいた。今年で大学2回生になる。
「なんだ? 差し入れなら里穂が持ってきてくれたぞ」
「お母さん来たの? 今回は差し入れじゃなくてね。あ、入って高山くん」
お邪魔します、と言って入ってきたのは1人の青年。りかと同い年くらいだ。
「君は?」
「あ。僕、高山遼介といいます。りかさんと同じ大学の文芸部員です」
「ふーん、りかの彼氏?」
「えっ。違います違います!」
うろたえながら手と首を振り始める。見るからにおとなしくて真面目そうな男の子だ。こういうの最近では「草食系男子」っていうんだっけ。いやそんなことは置いといて、2人は何しにここに来たんだ?
「用がないなら帰ってくれ、私は忙しいんだ。あと1週間で仕上げないといけないんだから」
「せっかく来てくれたんだから、そんなこと言わないの」
さっき行ったはずの洋子が、再びケーキと飲み物を持って戻ってきた。
「あ、ケーキは今いいって言っただろ!」
「あなたのじゃありません、二人のです。ごめんなさいね、りか、高山くん。えーと、りかはコーヒーだめだから、アイスティーね。高山くんアイスコーヒーでいい?」
「あ、はい。ありがとうございます」
2人はソファーに座ってケーキを食べ始めた。甘い匂いが部屋を満たし、思考を停止させる。
「僕、文芸部で小説を書いてるんです。でも最近ネタ詰まりで、一度有名作家さんの森下晃司さんにお会いしてみたかったんです」
高山くんがケーキをテーブルに置いて語った。なるほどそういう理由で来たのか。
「誘ったのは私。高山くん前から伯父さんに会いたいって言ってたから。でも見てのとおりお手本になること1つもないよ。すぐキレるし、パソコンは蹴飛ばすし」
「そうそう。年々子供っぽくなっていくのよねー。わざわざ来てもらったところ申し訳ないんだけど」
高山くんのフォローよりもりかと洋子の毒舌の方がはっきり聞こえ、反応のないパソコンも手伝って怒りが頂点に達した。
「うるさい、文句ばっかり言うなら出てけっ!!」
そう叫んでおもいっきりディスプレイを叩くと、画面が真っ暗になってしまった。慌ててマウスをカチカチするも反応なし。
「ど、どうしよう原稿が・・・・・・」
「あーあ、伯父さん乱暴にするから」
今はそんなことを言ってる場合じゃない。どうやら完全に壊れてしまったようである。うろたえていると、高山くんが画面を覗きこみ、「これデータUSBとかに残してますか?」と聞いた。
「ああ・・・・・・。あるにはあるけど半分くらいしか保存してない」
「残りはパソコンにある訳ですね」
「そうだけど?」
「なんとかデータだけ取り出せるかもしれません」
そう言って高山くんは目にも止まらぬ速さでキーボードを叩き始めた。機械オンチでさっぱり分からないが、さっきまでポンコツだったパソコンが生まれ変わっていく。意味も分からない英字が幾度も画面いっぱいに現れては消え現れては消えを繰り返し、「USBメモリください」と言う高山くんにそれを渡した。いつの間にか保存完了していた。りかも洋子も拍手を送っていた。
「高山くんすごーい。こんな特技があったなんて!」
「高山くんありがとう!! なんとお礼を言ったらいいか」
私は高山くんの手をガシッとつかみ、ほとんど泣きそうになっていた。「いやいや、お役にたてて何よりです」と彼は爽やかな笑顔で首を振った。お礼にごはんを食べていってくれ、と言ったがもう帰るらしい。残念。しかしいい小説のアイデアが思いついた。
「高山くん、たとえプロでもアマチュアでも煮詰まる時は煮詰まる。でも君のおかげでなんとか書けそうだ」
「ほんとですか」
「よかったわね。りかが高山くん連れてきてくれたおかげね」
「それじゃ伯父さん、早めに終わりそう?」
「うん多分な」
「それなら一緒に宵山行かない?」
えっ、伯父さんも一緒に行くの? と高山くんが驚きの声を上げた。宵山なんてずいぶん長い間行ってない。
だいたい私は人ごみが苦手だ。
「せっかくだけどいいよ。あんな人多いとこ疲れるだけだ」
とは言ったものの、2人が帰ったあと行きたいような気もした。
「行ってきたらいいじゃない。いい気分転換になるかもしれないわよ」
洋子にもそう言われ、夜に電車で四条烏丸まで行った。途中コンビニに寄ってビールを買い、夜店で香ばしい匂いを放つ焼き鳥を買った。人混みを避けてどこかで食べようとうろついていたら、新風館でりかを見つけた。どうも大学の友達と来たらしく、高山くんもいる。
「え、涼夏ちゃんも来たの?」
「そうなんです。よろしくお願いしまーす」
「お前、遠藤さんに迷惑かけるなよ」
「高山くん大丈夫だよ。あー嬉しいなあ。6時半に新風館集合って、ほんとにホルモーの世界だ」
「るかちゃんホルモーってなんなの?」
「あー腹減った。夜店でなんか買おう」
わいわいと喋りながら、恐れることなく人混みの中に自ら入っていく。青春だなあと思いながら、ビールをぐいっと飲んだ。
鉾のぼんやりした灯りが京都の夜を照らしていた。
●おわり●
*********************
●あとがき●
自己満足で始めた「悠々人生」の小説版、なんとか仕上げられてよかったですv
「悠々人生」は「Railwayぷらざ」というサイトで毎週連載していた4コマ漫画で、実際はもっと雑な絵で描いてました(毎週描かないといけないので;)。
3回生~4回生の12月まで連載していたのですが、小説の中にも4コマで出てきたネタがちらほら出てきます(笑)絵はなく文章だけですべてを表現するという違いはありましたが、これはこれで楽しかったです。
「宵山」というものに行く7人のそれぞれの視点から見た、それぞれの物語。
森見登美彦さんの「藪の中」(新釈走れメロス)を元に書きました。原作の「藪の中」は読んだことないんですが、いつも1人称で書いていて書ける心理描写とかも限界があるので、「これは新しい試みだ!」と思って挑戦。
まあ結果はそんなうまくいきませんでしたが;いいです。楽しかったから(おい)。
また「悠々人生」小説版が書ければいいなと思っています。
読んでくださってありがとうございました!
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