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毎日の出来事をのんびり書いていきます

日曜のことですが「容疑者Xの献身」観てきました。

やたら人が多かったんですが、面白かった!あれならリピーターとか来てもおかしくないですね。
福山雅治さんより堤真一さんの存在感がすごかったんですが、天才数学者ということで「やまとなでしこ」の欧介さんを思い出しました(笑)

金曜日のお楽しみは「ギラギラ」と「流星の絆」です♪
でもギラギラは次週最終回で流星の絆もそろそろクライマックス?12月中にはだいたいのドラマ終わりますよね。「七瀬ふたたび」もなんとなく毎週見ています。


さて、今回は「リトル・ベアー」第7話です。
珍しく連続で更新しています。こちらもそろそろクライマックスだったりします。






*********************

 イギリスの一般家庭で飲むのはたいていティーバッグ。

 日本の人はイギリス人は高級紅茶を飲むものだと思ってるみたいだけど、はっきり言ってそれは間違ってる。普通はテスコとかウェイトローズなんかのスーパーで売ってる箱入りティーバッグを買い置きしておいて、それをポットに二、三個ぷかぷか浮かべて飲むの。値段ももちろん安いに決まってる。

 
 でもおばあちゃんの家の紅茶はみんなリーフティー。アップルティーにしてもフォートナムメイスンのにしてもロイヤルブレンドにしても、全部香り高くていつもお湯みたいな紅茶をがぶがぶ飲んでる私にとっては感激することばっかり。だから仕事の合間のティータイムは私にとって至福のひととき。紅茶は自由に飲んでいいからいつも勝手に入れて飲んでる。昼間は暑いからアイスティーで、夜は冷えるからホットのミルクティーがお気に入り。


「いい香り! これって何の紅茶?」

 
 お風呂あがりにお気に入りのマグカップで紅茶を飲んでいるとテディちゃんに尋ねられた。


「アップルティー」

 
 アップルパイと一緒に食べたら最高なんだけどな、と言いかけてテディちゃんも飲み物くらい飲めたらいいのにね、と言った。仕方ないのでカップを近づけて、香りだけでも楽しんでもらうことにする。ほかほかとした湯気がテディちゃんに直撃しているが、熱くはないらしい。ぬいぐるみなんだからそれで普通か。


「スフレちゃん、家でもこんなの飲んでるの?」

「全然違う。私の家はティーバッグだから、香りも味も全然違うの」

「ティーバッグって?」


 私はうーん、と唸った。これくらいの四角いやつの中に紅茶が入ってて、それに紐がついてる。先にカップにお湯入れて色がつくまでそれをぷかぷかさせる、と分かりやすいようでよく分からない説明をした。


「物にもよるけど、味はほとんどついてないんだ。だから夏はおばあちゃんの家で十分紅茶を満喫してから帰るの」


「でも帰ってから慣れるまでが大変そうねえ」

「そうそう、その通り」

 
 数週間前までぎくしゃくしていたのにいつの間にか意気投合していて、私達は顔を見合わせて笑った。そしていつの間にかぬいぐるみなのに喋るという違和感もなくなっている。ペットでもなく、もう友達か妹のように思えていた。


「ねえ、スフレちゃんのお母さんて何してる人なの?」

 
 といきなりテディちゃんに尋ねられた。そんなことを聞かれたのは初めてだ。私自身のことはよく聞かれたりしていたけど。私はカップを口から離して机に置いた。


「うちのお父さんとお母さんはどっちも学校の先生。オックスフォードの大学で教えてるの。だから帰りもいつも遅いんだ」


 そう、となぜかテディちゃんは悲しそうな顔をした。


「そういえばテディちゃんの前の飼い主ってどんな人だったの?」

「キャロルちゃんていう女の子。ちょうどスフレちゃんと同じ歳くらい。金髪で青いお目めが可愛い子だった」

 
 私と同じ歳の女の子か。でもテディちゃんは長い間眠っていたらしいから、もうその子はおばさんになっているだろう。


「でもキャロルちゃんはスフレちゃんみたいに私を受け入れてくれなかった。喋るぬいぐるみだって騒いで、お母さんにもお父さんにも相談してたみたいだけど、相手にしてもらえなかったみたい。私をどこかに閉じこめて見えないようにした」

 
 それを聞いて言葉を失った。閉じこめるなんて・・・・・・ひどい。確かに不気味に思っても仕方ないかもしれないけど、そこまでしなくてもいいのに。


「それで・・・・・・。キャロルちゃんはどうしたの?」

「もう私と会うことはなかったよ。長い間同じ場所に閉じこめられて、キャロルちゃんでさえそれは忘れちゃってたみたい。寂しかったけど、どうすることもできなくて、そこでじっとしてた。それからどういうルートで渡ったのか知らないけど、スフレちゃんのおばあちゃんの手に渡ったの」

 
 テディちゃんが驚いてスフレちゃんどうしたの?と声を上げた。最初何のことだか分からなかったけど、カップの中にしずくが落ちるのが見えた。私はいつの間にか泣いていたんだ。何か喋ろうと思ったのに何度やっても上手くいかなくて、言葉に詰まった。テディちゃんは私の片手に小さな手を置いた。


「私ね、スフレちゃんに会えてすっごく嬉しかった。私とも打ち解けてくれたし、秘密の場所にも連れて行ってくれた。知らないこといっぱい教えてくれて本当にありがとう」

「お礼を言うのは私の方だよ」


 私はようやく泣くのをやめて、テディちゃんを見下ろした。


「いっつもほったらかしの私をテディちゃんは慰めてくれた。いつもくまさん作りと接客ばっかりで、それなりに楽しいけど正直単調な毎日だったの。こんなに誰かと笑ったり言い合ったりしたの久しぶり。ほんとにほんとにありがとう、テディちゃん」

 
 マグカップを流しに持って行き、歯磨きをして寝ることにした。そういえばテディちゃんにはまだ名前が付いてない。当然キャロルちゃんは付けてあげなかっただろう。明日何か考えてあげようと思い、おやすみと言うとテディちゃんが微笑んだ。
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