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毎日の出来事をのんびり書いていきます

またいきなりなんだ、という感じのタイトルですみません;

私の好きな作家さん村山由佳さんは「おいしいコーヒーのいれかた」というシリーズものの小説を書いてらっしゃるのですが(略しておいコー)、その挿絵や表紙絵を描いてらっしゃるのが志田光郷(みさと)さんです。
主人公ショーリの想い人かれんを主に描いてらっしゃるのですが、すごーく繊細で綺麗な絵を描かれる方なんですvv
でもこの間ホームページ見たら、志田さんこのお仕事を辞められるんだとか。
寂しい・・・。特に村山由佳さんとは(多分)長い付き合いだったのに。

現在原画をご自身のショップで売ってらっしゃるのでこの間頼んでみたんですが、私より前にメールして来た人がいたから無理とのこと。(誰だ812-d買ったの!!)
しかも4万円のオークション品以外は全て売れていたのでした。1日でほぼ売れるなんて・・・。
でも懲りずにまた応募してみます。今年のクリスマスプレゼントはこれに決定。


イラストは前回話の中で出てきたキャロルちゃんです。
この歳でかなり現実的な子。彼女の謎は今回明かされます。
そういえば年賀状企画は・・・予想通りでした。やっぱりいつも送ってる方に送ることにしよう。でも一応7日まで締め切りにしておきます。

では「リトル・ベアー」8話は続きからどうぞ♪

 



************************


 九時、目が覚めて体を起こした。
お休みだから寝坊しちゃった、とちょっと後悔しながらあくびをし、うーんと伸びをする。


「おはようテディちゃん」


 カーテンを引いて、いつものようにテディちゃんに声をかけた。まぶしい朝日が窓を通して差し込んできて、目がちかちかする。返事はなかった。


「どうしたのテディちゃん。ここは私しかいないんだから話していいんだよ?」

 
 振り返って私はもう一度言った。やっぱり返事は返ってこない。私は初めテディちゃんがふざけて何も話さないんだと思っていた。でも何度話しかけてもまっすぐ見つめても、口はぴくりとも動かない。そんな、まさか・・・・・・。


「テディちゃん! なんか言ってよ、ねえ!」

 
 私はついにテディちゃんを両手で持って上下に振った。それでもなんの反応もない。これはふざけてるんじゃないということがようやく分かった。昨日まで一緒に話してたのにどうして? 私の叫び声に気づいたおばあちゃんがどうしたの?と言いながら階段を駆け上がってきた。ちょうどテディちゃんが初めて話したあの日のように。


「おばあちゃん。テディちゃんが・・・・・・。テディちゃんが動かなくなっちゃった」

 
 私はテディちゃんを抱きしめたまま、こぼれそうな涙を必死に堪えて言った。そんなこと言ったってまた何を言ってるんだと相手にしてもらえないのは分かってる。でもおばあちゃんはゆっくりと近づいてきて、私の頭をなでた。


「スフレも話せてたの? この子と」

 
 それを聞いて私は驚いて振り返った。


「スフレもって。もしかしておばあちゃんも昔・・・・・・」

「話せたのよ。この子はね、幼い純粋な心を持つ子供とだけ話せるテディベアなの。大人になるといろんな意味で純粋じゃなくなっていくから、話せなくなってしまうんだけどね」


 スフレの前はあなたのお母さんが持ってたのよ、とおばあちゃんは言った。


「それじゃキャロルちゃんって、お母さんなの?」

「この子から聞いた?そうよ。でもキャロルはこの子を大事にするどころか、気味悪がって近寄らなかったの。あの子は昔から現実的っていうのかしら、可愛げのない子だったから非現実なことは一切信じなかったのよ。だから閉じこめていたこの子を私が見つけて、安全な場所に移した。でもどちらにしてもこの子にとっては孤独だったかもしれないわね」

 
 自分どころかテディちゃんにまで優しくないお母さんに怒りを覚えたけど、今はそれどころじゃない。子供とだったらテディちゃんは話せるんだよね?と聞くと、おばあちゃんは頷いた。


「だったらどうしてもう話せないの?なんでテディちゃん何も喋ってくれないの?」

「期限が決まってるからよ」

 
 期限? と私は聞き返した。


「二○日経てば、もう話すことはできなくなるの。テディは今度の持ち主が現れるまで眠り続けないといけない」

「・・・・・・期限なんかいらない」

 
 私は手をぎゅっと握ってうつむいた。涙がぽたぽたとカーペットに落ちるのが見えた。


「私約束してたのに。テディちゃんに名前付けてあげるって約束してたのに・・・・・・。なんでもう一日くらい待ってくれなかったの?連れて行ってあげたい場所も、してあげたいことも、いっぱい・・・・・いっぱいあったのに」

 
 自分を責めながら出た言葉は、今更どうにもならない後悔ばかりだった。おばあちゃんは私を抱きしめて、幸せだったと思うわ、と言った。


「テディは目覚めてからも前の持ち主のキャロルのことでだいぶ傷ついていたと思う。一言も口をきかずに、いきなり閉じ込められたんだもの。きっとあの子のことだから明るく振舞ってたと思うけど、かなり無理してたと思うわよ。でもスフレはテディとおびえながらも話をして仲良くなっていったんでしょ? どこかにも連れて行ってあげたんじゃないの?」

「連れて行ってあげたけど、テディちゃんは何も食べられないから、嬉しかったかどうか分かんないよ」


 おばあちゃんは首を横に振った。


「スフレと過ごした日々が、あの子にとっては何よりのごちそうだったんじゃない?」

 
 それを聞いてまた涙が溢れた。同時にいままでのテディちゃんとの思い出が頭に流れ込んできた。喋るテディちゃんを見て驚いたことも、一緒にブラックベリーの林に行ったことも、一緒に出かけたことも全部。写真も何も撮ってないし何も残ってないけど、私の頭には写真よりも鮮明にテディちゃんとの思い出が残っている。あなたがこの子を幸せにしてあげたのよ、とおばあちゃんは私の頭をなでながら言った。


「おばあちゃん、私テディちゃんの名前決めた。次の持ち主が現れるまで私が持っててもいい?」

「もちろんよ。なんて名前にしたの?」

 
 私は涙をパジャマの袖で拭った後、笑顔で言った。


「モカちゃん」

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