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12/12

2008


昨日で「七瀬ふたたび」が終わりました。
ひどい終わり方でしたよ。「ヘンリー子供助けたのに普通撃つか?」とかドラマだと分かってるのに腹を立てながら見てました。
でも最後アクティブ・テレパスの七瀬ちゃんがみんなの心を変えたところは感動的でしたが。

今日はゼミの説明会でした。疲れた・・・。
さっき志田さんのサイトのオークションのイラストを注文してみましたが、無事落札できました~!
誕生日が近いと書いていたからなのか、志田さんからの指示のようです。志田さんありがとうございますv感謝ですvv
ちょっと高いけど、頑張ってお小遣いの中から出しますとも!!


さて、今回はリトルベアー最終回です。
イラストは前回のスフレ。泣いてる女の子の絵って好きですv自分では上手く描けませんが;
普段書くのは同世代の女の子ですが、たいてい主人公の女の子どこかのシーンで泣いてます。
9話で終わりというのはちょっと縁起悪いですが、一応来週も今回のお話のイラストはアップします。今度はあとがきになる予定。

では「リトル・ベアー」最終話は続きからどうぞ~。

 

 **************************

 あれから数年経って、私はオックスフォードの有名な大学に進んだ。
大学教授のうちの親にとって、それは理想的な進学だったらしい。大学の授業に加えて日本に興味があった私は、日本のことも学ぶためにちょくちょく日本へ行っては新しい日本語を覚えて帰ってきた。おかげで小学生の頃に比べたらだいぶなめらかな日本語が話せるようになった。

 
 おばあちゃんが亡くなったと聞いたのは私が大学三年生の頃、ちょうど就活に励んでいるそんな時期だった。中学生になってからも夏になると私は度々おばあちゃんのお店に行って手伝いをしていたけど、最近では勉強が忙しくなってそれどころじゃなくなっていた。    
 私だけの問題でもないと思うけど、過労らしい。おじいちゃんも亡くなってしまったし、一人でお店を経営していたんだから当然と言えば当然だった。でもいつまでも若々しいおばあちゃんがこんなにあっけなく逝ってしまうなんて夢にも思わなかった。


 「おばあちゃん来たよ」

 
 お葬式が終わり、おばあちゃんのお店を訪ねてみた。温かい雰囲気のお店は私が小学生の頃手伝いとして来ていた頃と全く変わってなかった。いたる所にテディベアが並べられていて、もちろんそれは全部おばあちゃんのお手製。みんな持ち主が現れるのを待っているかのようにちょこんと座って、こちらを見ていた。


 「ここ取り壊されるみたいよ。まあこんな所たいした敷地じゃないけどね」

 
 お母さんは冷たい声で言った。肉親が亡くなったというのに、悲しみはまるで感じられない瞳。もともとお母さんはこんな田舎で一人暮らすおばあちゃんをあまりよく思っていなかったらしい。


 「そんな言い方しかできないなんて悲しい人」

 
 そう言って私はカバンの中からモカちゃんを取り出した。お母さんが目を丸くする。


 「そのテディベアは・・・・・・」

 「閉じ込めてたんでしょ?キャロルちゃん」

 「何言ってるのよ。目ざわりだからさっさとしまってちょうだい」

 「言っとくけど、もう喋らないよ。それからね私、このお店継ぐことにするから」

 
 お母さんは短く叫んだ後、いきなり何言い出すのよ、と言ったが私はもう決めたの、と言ってそっぽを向いた。


 「こんな店たいして収入入らないわよ!それにあなた一人でできる訳ないじゃない。これから先もっと条件のいい会社も出てくるわ。それなのに、」


 収入の問題じゃないの、と言って私はお母さんを睨んだ。


 「誰かがなんとかしなきゃここは取り壊されちゃうんでしょ?私そんなの嫌。毎日のように楽しみにしてテディベア買いにくるお客さんがいること知ってるのに。それに継ぐのが無理だったら他の方法を考える」

 
 お母さんは相手にしてられない、という顔になってため息をつき、勝手にしなさいと言って店を出て行ってしまった。先に帰るのならそれでもいい。ここは私の第二のふるさとみたいなものなんだし、帰り方なんて一〇年以上も前に覚えてる。

 
 私はモカちゃんを連れて店の奥のキッチンに向かった。ここでおばあちゃんとごはんを食べたり、お喋りをしたものだ。でもこれからはそんなこともできない。私を成績でしか見てくれない両親と違う、私そのものを認めてくれるおばあちゃんだったのに。思えば私もおばあちゃんにずいぶん助けられた。だから今度は私の番だ。


 「何ができるか分からないけど、一生懸命やってみるね」

 
 私は窓の外を見て言った。


 「きっと大丈夫だよね、おばあちゃん」

 
 誰も味方してくれる人いなくなっちゃったけど、とぽつり呟いた。モカちゃんに加えて、おばあちゃんまでいなくなってしまった。頼れる人はもう誰もいない。私一人で大丈夫だろうか、と急に不安になった。


 「大丈夫よ」

 
 え?と言って振り返った。誰もいない。


 「私がいるから」

 
 声は後ろじゃなくて、下からしていると分かった。まさか、と思っておそるおそる下を見る。モカちゃんが笑って私を見上げていた。夢かと思って目をこする。でも何度見てもモカちゃんは動いていたし、この声もモカちゃんの声そのものだった。


 「ありがとう。名前付けてくれて」

 「もう喋れなくなったんじゃなかったの?」

 「スフレちゃんがこのお店のマスターになってくれたから。実はこのお店ずっとずっと継がれ続けてきてる伝統のある店なのよ。私子供意外でも、マスターとだけは喋ることができるの」

 
 ということはおばあちゃんもモカちゃんとは話せたのか。私には黙ってその日が来るまで教えなかったんだ。


 「これからはずっと一緒よ、スフレちゃん!」

 
 モカちゃんは私に抱きつき、私もモカちゃんを抱きしめた。思いがけないサプライズだったけど、これ以上ないプレゼントでもあった。

 
 それから私とモカちゃんは今後このお店をどうしていくかじっくり話し合うことにした。私だけなら不安だけど、二人なら大丈夫。だってモカちゃんは両親よりも私のことを分かってくれる、誰よりも大切な「リトル・ベアー」だから。

 


 ●おわり●

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