11/07 2008 久しぶりの更新

久しぶりに「リトル・ベアー」更新。

ほんっとうに久しぶりなので、絵も気合い入れて描いた・・・つもりです。
人物より後ろのくまを力入れて描いたので、その辺り見て頂けるとありがたいです。それにしてもカラフルなくまだなあ；

前回「そのポケットのくまさんは？」と美香さんに尋ねられて焦ってるスフレ。
着てる服はこのお店の制服なんですが、久しぶりに描いたらデザインが違っていました・・・；；
仕方ないので今後この服描くことがあったらこのデザインでいきます。

今日は紅葉が綺麗でした～。
運転中に見たので写真は撮れませんでしたが。真っ赤に紅葉した葉より、オレンジくらいの色の葉の方がいいです。緑からオレンジのグラデーションになってればなお良し！（細かい・・・）


では「リトル・ベアー」５話は続きからです～。

　
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 少し早足で歩いていると、テディちゃんが揺れる、落ちる！と言うので仕方なく慎重に歩くことにした。あんまりゆっくりしてたら休憩終わっちゃうんだけどな、と頭では思うけど、万が一ポケットから落ちてがみがみ叱られるのも嫌だ。だから時々うつむいてテディちゃんがいるのを確認しながら気をつけて歩くことにした。

「スフレちゃんは夏休みはいつもここに来てるの？」

　テディちゃんが私を見上げて尋ねる。

「うん。お手伝い始めたのは去年からだけど、よく遊びには来てた」

「こんな田舎になんでわざわざ」

「田舎だからいいの。さっき来てた美香さんはケンブリッジの大学に行ってるみたいだし、観光とかで来てる人は都会の方に行くことが多いみたいだけど、私はこういう静かな所が好き。都会は確かに便利だよ。でもその分なんか大事なものを失くしてるような気がする」

　さあ着いたよ、と私は緑の草を踏みしめて言った。去年見つけた私の大好きな場所だ。小鳥のさえずりが聞こえる。こんな所に何があるのよ、と首をかしげるテディちゃんに見て、と指をさした。

「うわぁ・・・・・・。これって？」

「ブラックベリー」

　入っていった小さな小道の両側にはブラックベリーが数え切れないほどなっていた。ちらほらまだ赤い実もあるけど、ほとんどが黒く熟している。今年もたくさんなってくれたんだと思うと、すごく嬉しくなった。

「これね、野生でここに勝手に生えてるんだよ。すごいでしょ？それにこんなにいっぱいなってて、おとぎ話にでもでてきそう」

　
 私はその中の実を一つもぎ取って、テディちゃんに見せた。

「綺麗！　宝石みたーい。でも私何も食べられないの」

　
 ああ、そうだった。テディちゃんが喋るから忘れていたけど、この子はぬいぐるみ。口は動くけど、ブラックベリーなんか食べられる訳ないよね。私は代わりにまだ赤いブラックベリーを葉っぱと一緒に取って、テディちゃんに渡した。お花代わりに持ってて、と言うとテディちゃんは喜んで受け取った。

「すごいスフレちゃん。こんな素敵なとこいつ見つけたの？」

「去年おばあちゃんの家にお手伝いに来て、休憩時間に散歩してたら見つけた。ジャムにしたらおいしいんだけど、今日籠とか持ってきてないからなあ。それにそろそろ戻んなきゃ」

　
 そう言いながら熟した実を取って口に入れた。日の光をいっぱい浴びたブラックベリーは甘く、どこか懐かしい味がする。得意気に「こんなこと都会じゃできないでしょ？」とテディちゃんに聞くと、降参したように「確かにね」と頷いた。

　
 そこで過ごした時間はわずか３０分ほどだったけど十分リフレッシュできて、午後からのお手伝いも頑張ってすることができた。ディスプレイされたくまさんを並び直したり、今日のお勧めをお客さんに説明したり、英語の分からないお客さんには日本語で応待したり。今日も忙しかったけど充実していた。「ありがとうございました」と「いらっしゃいませ」はほとんど同時に言う。

「スフレちゃんそれ髪飾り？」

　常連さんの金髪のおばさんが聞く。一瞬何のことか分からなかったけど、すぐポケットのテディちゃんに視線を落としているのが分かった。

「あ、これ本物のブラックベリーです」

「へー、くまさんおしゃれしてもらってるのね。可愛い」

　腰をかがめておばさんは言った。おばさんが帰っていってからもう一度テディちゃんを見ると、さっきまで無表情だった顔がほころんでいる。それを見て私はいつの間にかテディちゃんと打ち解けていることに気づいた。