最近めっきり小説更新できてなかったので久しぶりに更新。
どれくらいの方が読んでくださってるのか分かりませんが、それは気にしない。ほぼ自己満足ですし。
イラストは3話のスフレ。
着ているのはパジャマのつもりです~。ふわふわな服が好きなようです。
最近プロフィール絵の方が丁寧な気がして、ブログのこの子の絵は雑なのばっかり;またちゃんとした絵も描きたいです(時間があれば)。
ではリトル・ベアー4話は続きからどうぞ。
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いつものように制服のワンピースを着てお店に向かった。いらっしゃいませ、いらっしゃいませー、と英語と日本語両方で言う。いつもと何ら変わりはなかった。喋ったテディちゃんを胸ポケットに入れてることを除けば。
カランカランという音がして振り返る。
「いらっしゃいませー。あ、美香さんこんにちは」
「こんにちはスフレちゃん」
美香さんは大学生で、現在留学中なんだそうだ。こっちに来たのは4月で、もう7ヶ月近くになるらしい。最初はホームシックにかかって本当に辛そうだったけど、癒しを求めてここに来るようになってからだいぶ表情も柔らかくなったとおばあちゃんも言っていた。
「今日は大学お休みなんですか?」
「うん、土曜日だからね。ここに来るとほんとに落ち着くなあ。あ、ハンナさんこんにちは」
「こんにちは美香さん。ゆっくりしていってね」
「はい」
アンティークベアというかテディベアが好きな日本人も多いみたいで、ここは地元の人よりも日本人の方がよく来ているような気がする。言葉が通じない異国での唯一の憩いの場になってるんだって。勉強で来てるからそれは仕方ないけど、そういう慰めの場所があってもいいよね。
「あれ? スフレちゃんポケットのそのくまさんは?」
「あ、これですか?」
私は内心冷や汗を垂らしてテディちゃんを指差した。
「可愛い~。それも手作りなの?」
「おばあちゃんからもらったんです。うちに代々伝わるテディちゃんなんだそうですよ」
「へー、なんかすごい歴史ありそうだなあ。ひょっとして不思議な力とかあったりして」
あはは、まさかねー、と美香さんは茶化して言ったけど、私の心臓はばくばく暴れていて、ポーカーフェイスを保つのがやっとだった。おばあちゃんは向こうで新しいテディちゃんを並べながらにやりと笑って、それは内緒ですと言った。
午前は8時から12時くらいまで店番して休憩をとることになっている。スフレそろそろ休んでいいわよーと言うので、店の中に引っ込んでごはんを食べた。ここでもテディちゃんは喋らない。でももうあれは夢じゃないってことくらい分かっていた。
「おばあちゃん、ちょっと散歩してくるから」
「はいはい。1時になったら再開するから早めに戻ってくるのよ」
「はーい」
裏口から出て、私は林の方に歩いていった。あっちに行けば毎年ブラックベリーがいっぱいなっている。そろそろ食べ頃だろう。それにしてもここは空気もいいしなんて気持ちいいんだろう。都会の騒がしさや嫌な空気もここにくれば全部忘れられる。私がうーん、と伸びをしたら、お疲れ様、と言われてまた悲鳴をあげてしまった。
「スフレちゃんそろそろ慣れてよー。何度話しかけたと思ってんの?」
「だ、だってテディちゃんが、ぬいぐるみが喋るなんて、慣れる訳ないでしょ」
「そうかもしれないけど、なんか喋れるようになっちゃったんだから仕方ないじゃないのよ。私だってこんなの気味悪がられるだけだし、喋れるようになんかなりたくなかったわよ」
口だけ動く無表情のテディちゃんは意外と口達者だった。更にさて、これからどうするの?と私に話しかけてくる。
「うん・・・。とりあえず林の方へ」
「それじゃ早く行こ。早くしないと休憩終わっちゃう」
テディちゃんにぐいぐい押されながら、私は林の方へ足を進めた。
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そして大のお笑い好きです
12月16日生まれのA型